院試に苦しんだ話 (その1)
この記事は、東京大学航空宇宙工学科/専攻 Advent Calendar 2018
8日目の記事です。
学部で航空宇宙に所属し、修士で情報理工にいる ゔぇるでぃ (@verdy_266) と申します。学部は航空宇宙だったという話をすると結構な割合で優秀判定されるのですが、正直学科では落ちこぼれてしまいました。落ちこぼれができることは、後輩たちが同じ道を歩まないようにすることだけだと思ってこの記事を書きます。
この続きを U-TOKYO AP Advent Calendar 2018 17日目で書くのですが、今回は学部での落ちこぼれぶり~夏院試あたりのことをだらだらと書いていきたいと思います。いわゆる「院試版不合格体験記」*1です。反面教師にするなり、読み物として笑い飛ばすなりしていただければ幸いです。
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落ちこぼれるために航空に入ったわけではないのです。学部に入る前は自分のことは割と真面目な人だと思っていましたし、もしかしたら今もそう思ってくれてる人はいるかもしれません。なんの自慢にもならないのですが。
高校時代は運動会や文化祭に明け暮れて勉強が間に合わず、現役時は数点差で理一に合格できませんでした。当時は化学や生物が面白いなあと思っていた部分もあり私大は化学系の学科を併願していましたが、天文気象部に入るなど、昔から星空を眺めるのは好きでした。
現役時の受験間際に物理の演習で人工衛星のスイングバイを扱い、物理面白いなあ、宇宙にまた興味持ってもいいんじゃないかという気持ちになり、浪人を決意したときには「東大に合格出来たら宇宙を目指そう」と思っていました。宇宙の世界はつぶしがきかないイメージがあり、東大に合格すらできないようでは生きていけないと何となく感じていたからです。
浪人時は友達にも恵まれ、プレッシャーはありましたがおおむね楽しくやっていました。誰に遠慮することもほかの用事に追われることもなく、自分のやりたいように勉強して、好奇心を満たしたいだけ満たすことのできる浪人という環境は、とても自分に合っていたように感じます。無事理一に合格することができ、そんなわけで航空宇宙を意識した状態で大学に入学することになりました。
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点数を理由に航空宇宙をあきらめたくなかったので、教養ではそこそこまじめに勉強していました。2Sの第三外国語で点数の底上げを行ったところ平均を80強まで上げることができましたし、1Aでたまたまとった機械系の授業がとても面白く、機械系に興味を持つきっかけになりました。
進振りガイダンスは工学部のあらゆる学科のものに参加しましたが、幅広い分野について学び(卒業設計)、一点について深く掘り下げる(卒業論文)、いわゆる「T字型の人材」を育成しているという点に共感し、航空に希望を出すことに決めました。第二段階でなんとか滑り込み、航空に進学することになります。
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落ちこぼれの兆候が現れ始めたのはこのころです。2年の後期は割とまじめに勉強していた気がしますが、3年夏にCanSatプロジェクト*2に参加したあたりから授業に出れなくなります。1限の遅刻や、授業中に寝ることも多くなりました。膨大な量の課題に忙殺され、特に理解をしないままシケプリのお世話になり、なんだかんだ良あたりの単位を取っていくサイクルを回すようになります。一旦ダレることを覚えてしまうと、なにかスイッチが切れてしまったように勉強しなくなりました。
ひとつ具体的な失敗ポイントを上げるとするなら、2年後期の「材料力学」をこのタイミングで理解できなかったことです*3。材料力学に関係する講義はこの先もいくつかあるので、このタイミングで理解できていないと芋づる式に理解が進まないことになります。また、特に構造力学系の授業で板書マシーンになりがちで、板書をとっただけで満足し、特に講義後に復習をしませんでした。個人的には板書マシーンになるくらいならメモとらずに講義聞いてた方がいいと思います*4。人によるだろうけど。
もう一つの失敗ポイントは、就活がまったく頭になかったことです。学部卒で就職するとなるとB3後半には就活してないといけないことになりますが、「周りが院に行くし」「研究室に入る前に就活するのは研究者としての道を捨てることになる*5」とか言い訳して全く就活について考えることがありませんでした。このせいで、将来なんとなーく航空の院に行ってなんとなーく航空宇宙系のとこに就職するのかなー的な思考のまま、ずるずると院試に向かうことになります。
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幸か不幸か研究室は希望のところに配属がきまり、もはやこの先生についていきたいほどだったので、院では今いる研究室に残ることしか考えていませんでした。B4の4月あたりからぼちぼち数学の過去問を解き始め、7月あたりから本格的に勉強した気がします。多分普通に授業受けていればこのペースで間に合うんだと思いますが、基礎が全く分かっていなかったので、材料力学の教科書をイチから読み直すとか、図書館でいろんな本をあさって読みまくるとかしていたので、10年分の過去問を解くのが精いっぱいだったと思います。
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本番数日前に出した熱を無理やり治し*6、迎えた院試当日。7号館の講義室があいていたので、直前確認を友人としたのち83号室に向かいました。
1日目は英語と数学です。英語はまあわからないながらもそう大失敗することはないだろうと思っていたので、とりあえず通過。問題は午後の数学でした。
6問中3問選択なのですが、得点源としていた大問で手が付けられず、第2候補の大問で超苦戦、第3候補の大問で盛大な読み間違えをして半分くらいしか解けないという大惨事。確か第4候補で完答間際まで行っていた気がしますが、1日目は絶望して帰宅した覚えがあります。
2日目の専門科目をなんとか頑張って解ききり、3日目で5分くらいの面接をやっつけ、つらい院試を終えました。院試後に学科同期と飲んだものの、出てくる話の端々で自分のミスが露呈し、ひとり暗くなっていました。
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とはいえ750/1200が合格ラインといわれていたので、だいたいの自己採点をするとそこまでひどくはないと思っていました。研究室旅行やら同期旅行やらを挟んで合格発表。落ちました。掲示板見たときは何かのバグかと思いました。3回くらい掲示板を確認して、それでもまだ状況を受け入れられなかったのですが、何人か周りに落ちた人がいたことで、「どういうこと?」から「どうしよう」に変わっていきました。
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開示結果を晒しておきます。
英語 188 / 数学 134 / 専門 432
合計754ってことになるんでしょうか。この点数がそのまま加算されてるのかは定かではありませんが、合格ラインがだいたい750くらいだとすると、ギリギリで落ちたんだと思っています。まあ数学で半分取れないやつはいらないですね*7。あと英語も思っていた以上に悪い。うーん。
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さて、そんなこんなで航空の夏院試に落ちたので、進路について考えるところからやり直すことになりました。ここらへんの話から、次回にしたいと思います。
こんなポエムみたいな自分語りをするのもぼくだけでしょう。皮肉なことに明日の方は今年の院試主席だそうですね…きっとアカデミックな内容を書いてくれるんだと思います(煽りすいません)